僕が禁煙した時にも活用した『if-thenプランニング』は、目標に対しての行動を推し進める「強力な思考プロセス」です。
本記事では『if-thenプランニング』の概要や、そのメリット、具体的なステップを解説します。
「はよやり方見せろ」と言う方は、『if-thenプランニング』の具体的手順へどうぞ。
『if-thenプランニング』とは
『if-thenプランニング』はとてもシンプルで、「(if)もしAになったら、(then)Bする」と言う形式の条件文を使用して、将来の出来事に対処するための計画を立てる思考プロセス、テクニックです。
特に、
- 新しい習慣を定着させたい
- 苦手な仕事を先延ばしにせずやり遂げたい
- 組織のプロジェクト管理に役立てたい
というようなシーンで活躍します。
「もしAになったら、Bする」というシンプルな構文で、どんな行動をするのかを事前に具体的に決めておくことで、それが実行される確率が高くなるという研究成果があるようです。
実際に、『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』とう本の中で以下のように紹介されています。
ただ決めるのではなく、「いつ」「何を」やるを、はっきり決めておく。これで実行できる確率は2倍から3倍も高くなります。
『やりぬく人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』written by ハイディ・グラント・ハルバーソン
この著書の中では以下のような具体例があげられています。
(if)もし、午前中に報告書を書き終えられなかったら、
(then)午後最初の仕事は、その報告書を書き上げることにする
(if)もし、同僚とのおしゃべりで仕事がはかどらないなら、
(then)おしゃべりタイムを5分と決めて、5分後には仕事に集中する。
(if)もし、午後6時になったら、
(then)会社のジムで汗を流す。
このように、「AになったらBをする」という、とてもシンプルな行動計画だからこそ人間の脳にとって覚えておきやすく非常に効果的なんです。
もう少し具体的に見ていきましょう。
『if-thenプランニング』の具体的手順
『if-thenプランニング』はとてもシンプルなので、思いついたままに使うだけでもある程度の結果を期待することができます。
ただ、以下の簡単な6つのSTEPで『if-thenプランニング』を活用できれば、より高い確率で目標を成し遂げることができます。
- STEP1目標を明確にする
達成したい目標を明確に言語化し、そのためにするべきことを考えます。
例)5kg痩せるために毎日ランニングをする - STEP2行動の条件を決定する
「いつ」「どんな時に」行動に移すのか、条件を考えます。
例)「仕事帰りに」「夕食前に」「水曜日の18時に」etc - STEP3『if-thenプランニング』に落とし込む
(if)もし、水曜日の19時になったら、
(then)家から出てランニングをする。 - STEP4何が障害になるかを考える
目標を達成する上での障害や誘惑をピックアップします。
例)仕事で残業がある、同僚から食事に誘われるetc - STEP5障害への対処を考える
その障害や誘惑に対してどのように対処するかを考えます。
例)残業で遅くなった場合は、ランニングの代わりにウォーキングをする - STEP6障害への対応も『if-thenプランニング』に落とし込む
(if)もし、水曜日が残業で帰るのが遅くなったら、
(then)前の駅で降りて一駅分ウォーキングをする。
このように、障害や誘惑に対する対応策も計画の中にいれておくと、格段に実行確率が高くなります。
『習慣化の解除』=悪習慣をやめることにも使える!
『if-thenプランニング』を応用すれば、喫煙や飲酒、パチンコなどの悪習慣を遠ざけることにも効果的です。
結論から言うと、悪習慣になっている行動を分解し、それを別の条件に変更するのです。
たとえば、飲酒の習慣がやめられないとして、飲酒という行動を分解すると以下のようなものです。
- 帰宅したら、お風呂に入る
- お風呂からあがったら、台所へ行きグラスを手に取る
- グラスを手に取ったら、冷蔵庫を開ける
- 冷蔵庫を開けたら、ビールを取り出す
- ビールの栓を開け、ぐいっと飲む
という感じでしょうか。この1〜5までの行動のうち、どこを変えれば最も習慣を変えやすかは人によります。
とは言え、「5.ビールの栓を開け、ぐいっと飲む」までいってしまうと、もはや誰にも飲酒を止めることはできませんので、「4.冷蔵庫を開けたら、ビールを取り出す」までの行動を変える必要があるとわかります。
たとえば、「(if)冷蔵庫を開けたら、(then)麦茶を取り出す」とすれば、お酒を飲まずに済む人もいるでしょう。
これが難しいとすれば3まで戻り「(if)グラスを手に取ったら、(then)冷蔵庫を開ける」を「(if)グラスを手に取ったら、(then)テーブルに置く」と置き換えることで、一呼吸置けるのでお酒飲まずに済む人もいるでしょう。
さらにこれでも難しいとすれば2まで戻り「(if)お風呂からあがったら、(then)台所へ行きグラスを手に取る」を「(if)お風呂からあがったら、(then)ベランダに出て夜風に当たる」とすれば、お酒を飲まずに済む人もいるでしょう。
そもそも「お風呂上がり」がトリガー条件となっている可能性もあるので、「(if)帰宅したら、(then)お風呂に入る」を「(if)帰宅したら、(then)ご飯を食べる」に変えてしまえば、満腹になってお酒を飲まずに済むかもしれません。
少しバカバカしいように思えるかもしれませんが、習慣的な行動については意外と自分の動きを細かく意識的に認識していないことが多いものです。まず、悪習慣を要素に分解してみることをオススメします。
挫折しないために、トラブルも『if-thenプランニング』しておけという話。
重要なポイントはトラブルや障害・誘惑を想定して、先にトラブルも『if-thenプランニング』しておくということです。
たとえば先ほどの例で言うと、「(if)帰宅したら、(then)お風呂に入る」を「(if)帰宅したら、(then)ご飯を食べる」に変えたとしても、帰宅する前に同僚から「一杯飲みに行かない?」と誘われることもあります。
事前に同僚にも禁酒中であることを伝えておくと1番いいのですが、そうではない場合も想定して「(if)同僚から飲み会に誘われたら、(then)丁寧に理由を話して翌日のランチに誘う」などとしておけばいいのです。
『決めておく』ことの重要性
「(if)同僚から飲み会に誘われたら、(then)丁寧に理由を話して翌日のランチに誘う」なんて、わざわざ『if-thenプランニング』なんて活用しなくても自然にできるよ!
と思われるかもしれません。
でも、僕が実際にやってみて感じていることは『if-thenプランニング』は『決めておく』ということにポイントがあるということです。
人間はそのときの状況や精神状態、疲労度によって意志の力を十分に使えないこともあります。
たとえば仕事で上司にめちゃめちゃ怒られた後に同僚から飲みに誘われたらどうでしょうか?その場の感情に身を任せてついつい誘いに乗っちゃいませんか?(僕なら間違いなく誘いに乗る)
そんな時、「飲みに誘われたら、翌日のランチで補填する!」とあらかじめ決めておくと、考える隙間ができるので、「そう言えば誘われ時に対処法考えてたな…」と思いとどまることができます。
コツは、ひたすらオートマチックに条件付けの通りに行動することだと感じています。つまり、感情は入れないということです。
感情論が入ってくると行動をコントロールすることが一気に難しくなってしまいます。
そんな時に「(if)同僚から飲み会に誘われたら、(then)丁寧に理由を話して翌日のランチに誘う」とあらかじめ決めておくことで、少し心に余裕が生まれます。
このようなメリットもあるので、『if-thenプランニング』を活用することで目標の達成率が格段に上がるのだと思います。
まとめ
シンプルな思考プロセスである『if-thenプランニング』は、一見すると「なんだ、そんなことかよ」と思われることもあります。
しかし、このシンプルさがゆえに扱いやすいテクニックであるとも言えるでしょう。
何はともあれ、何事も実践してみないことには分からないものです。
最後にひとつ。
「(if)この記事を読み終えたら、(then)『if-thenプランニング』でひとつ目標を作ってみる」
これをみなさんの宿題とさせていただきます!(笑)
ぜひ、実践してみてください。