新規ホームページの立ち上げや、リニューアルを検討する際の問題として「相場がよく分からない」ということがあげられます。
そんな時、「とりあえず相見積もりをとって予算が合いそうなところへ頼もう」という発想になりがちです。
実際、WEB上の記事や初心者向けの本では、
「相場がわからないまま1つの会社に頼むのは、適切な価格かどうかわからない。だから、複数社から見積もりをもらって、高すぎるところや安すぎるところを除外しよう」
という趣旨のことが記載されているケースもあります。
しかし、「ホームページの外注先を、単純な相見積もりで決めて失敗した」というお客様のお話をよく聞きます。
ホームページの外注で相見積もりが機能しない理由
なぜ、相見積もりが機能しないのか…
ホームページの外注先選びを相見積もりで決めてしまうことは、2つの観点からおすすめできません。
それは、結局、何社に見積もりを取ろうと、自社にとっての適切な価格がわからないからということと、売上に貢献するホームページづくりを行うことが難しくなるからです。
それでは、詳しくみていきましょう。
相見積もりでは、適切な価格が結局わからない
釈迦に説法ですが…
相見積もりとは、業者に仕事を発注するときや商品購入を検討するときに、適切な価格で発注できるよう、複数から同じ条件で見積もりを出してもらうこと。
どこに頼んでも納品物があまり変わらない場合や、求められる機能や品質がどの会社でもそこまで変わらない場合において、相見積もりは有効に働きます。
しかし、ホームページは1社1社それぞれ目的も違えば求める機能も異なる、フルオーダーメイドです。
そもそも、発注者の目的を達成するために、戦略を形にするのがホームページです。
ホームページの戦略というと、
・〇〇というキーワードで上位にくるコンテンツを作れば、この商品の認知向上が実現するのでは?
・この情報を、この順番で見てもられば、購買心理をくすぐることができるのでは?
・Q&Aを上手く利用すれば、効果的にこの商品の魅力をPRできるのでは?
…など、どのようなコンテンツを準備するべきか、どのような導線を準備するべきかなどを戦略的に考えるということです。
つまり、「WEB上での戦略づくり」を発注側と制作会社がともに作ることがホームページ制作の本質、と言っても過言ではありません。
当然、ホームページ制作会社によって、この戦略づくりも変わります。戦略が異なれば、ページ数や機能などを含む「条件」も異なるため、相見積もりのベースとなる条件そのものが同じにできないのです。
よって、各社の条件がバラバラの見積もりが複数枚でてきて、「同じ値段なのにページも内容も機能も全然違う!どう判断すればいいの?」という状況になり、相見積もりは機能せずに終わります。
ページ数を指定すれば相見積もりは機能するのか
それならばと、「ページ数は5ページ、こんなページがあればいい」という「条件」を提示したとしましょう。
A社:「5ページで30万円です。」
B社:「5ページで70万円です。」
C社:「何ページつくっても月額2万円です。制作はお客様ご自身でつくれます。」
D社:「初期費用無料です。そのあとは月額1万円で5年契約です。」
…といった具合に、「なぜ同じページ数なのに、こんなに値段が違うの?B社はぼったくりなのか?」などと、余計に基準がわからなくなることもしばしばあります。
これは、先述したように、提案(戦略)の内容に違いがあるためです。
つまり、戦略が違えばそれを実現する制作料金も異なるため、同じ基準で測ることはできないのです。「同じ条件」で見積もりをとること自体が難しいのです。
これでは何をもって適正なのか判断できるはずもなく、それぞれの制作会社の実力が判断できません。
また、ホームページの外注先を単純な相見積もりで決めようとすると、「売上に貢献するホームページをつくる」という視点が欠けてしまいがちであるという問題もあります。
売上に貢献するホームページづくりを行うことが難しくなる
なぜ、売上に貢献するホームページづくりを行うことが難しくなるのでしょうか?
それは、相見積もりを行う際の「前提」が邪魔をしてしまうからです。
相見積もりとは、適切な価格で発注できるよう、複数から同じ条件で見積もりを出してもらうことですが、多くの企業の中で「できるだけコストを抑えるために」というのが大前提となっています。
つまり、相見積もりで決めようとすると、ホームページづくりを単なる「コスト」と捉えてしまう恐れがあるのです。
そして、単なる「コスト」と捉えると、「もっと安くできないか」「自分の手間をかけずにやれないか」「できるだけ早く作れないか」という発想になってしまいます。
その発想で外注先を検討すると、「マーケティング視点で売上に貢献するホームページをつくる」という観点がないがしろにされ、結果的に「つくったはいいが機能しないホームページ」になってしまう傾向があります。
ホームページを「投資」として考える
ホームページを本当に「売り上げに貢献させるためのツール」として機能させるには、ホームページを「投資」として考えることが重要です。
「いくら投資すれば、どのように売上に貢献するのか?」
「いくら売上を上げるために、どのようなホームページにすればいいのか?」
という視点で考えるのです。
そうすれば、掛かる費用に対してきちんと見返りのあるリターンが期待できる提案をもらいやすくなるのです。
このような考え方で依頼をすれば、制作会社もそれだけ売上への貢献にシビアな提案をせざるを得ません。
この時点で、「ただつくるだけ」の制作会社を除外でき、実力のある制作会社の見極めもつくのです。
まとめ
ホームページの外注先を検討する際に、相見積もりで失敗する理由をみてきました。確かに、ホームページ制作に掛かる費用は安くありません。
しかし、「そのホームページを使ってどれくらい売上を伸ばしたいのか?」ということを軸に持つころが重要です。
たとえば、「30万円で済ませたものの、結局年間で3件しか問い合わせがなかった」というホームページは、1件の問い合わせあたりに10万円掛けていることと等しいのです。
一方で、「100万円掛かったけど、2年間、年間100件の問い合わせがある」というホームページは、1件の問い合わせあたり、5,000円です。
ホームページを「投資」として捉えるか「コスト」と捉えるかでは、これぐらいインパクトのある差が生まれることも珍しくありません。
しっかりと成果の出るホームページをつくるためには、単純な相見積もりではなく、制作会社に質の高い提案を出してもらう必要があります。
『費用対効果の良い提案を引き出す外注依頼の出し方』については別の記事で書いていますので、こちらもご覧いただけると効果的に外注依頼を出す方法をチェックしていただけます。よろしければご覧ください。