あなたの会社のホームページ、価格は掲載してますか?「詳しくはお問い合わせください」って正しいの?

マーケティング&ビジネス戦略
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WEB集客を考える際に「とりあえずたくさん問い合わせをもらいたい」という目的が多いと思います。その際、以下のようなことがよく議論になります。

  • 商品価格は出さずに「詳しくは店頭で」「詳しくはお問い合わせを」としたほうが、問い合わせしてもらえるのでは?
  • 情報提供はちょうど続きが読みたくなるところで、「続きをみるには会員登録を」などとしたほうがいいのでは?

つまり、ユーザーの興味関心をひくために、詳細を隠して聞きたくなるようにするのがいいのではないか?ということ。

確かに、本当に興味がある人からの問い合わせ率を高めるために、一見良さそうにも思えます。本当のところはどうなのでしょうか?

「問い合わせないと分からない」のハードルをわざわざ越えない現代のユーザー

結論から申し上げると、今の時代に「詳細はお問い合わせください」という手法は上手く機能しないケースが多いです。

なぜなら、至る所で情報が取得できる現代では、ユーザーは「自分で情報を集めたい」という時代になっているからです。情報は提供するものではなく、ユーザーに自分で見つけてもらうものになっているのです。

商品やサービスにもよりますが、「値段はいくらか」というレベルの情報は、ユーザーにとっては「わざわざ問い合わせしなくても書いておくべき情報」なのです。

わざわざ問い合わせしたり来店しないと分からないような時点で、すでに不快感をいだくユーザーすら存在します。不快感までいかなくとも「怪しいな…」「不安だな…」という気持ちにさせてしまう時点でマイナスではないでしょうか?

WEB上での行動からリアルでの行動へ移すハードルは思っているよりも高いのものです。「問い合わせなくちゃいけないなら面倒だから、この店はいいや」そう思わせてしまったらもうノーチャンスです。

もちろん、この考え方はすべての業種・業界ではあてはまるわけではなく、一律の見解ではありません。

でも、自分が逆の立場ならどうでしょうか?

「ちゃちゃっと教えてくれればいいような情報をもったいぶって問い合わせしろ、なんてめんどくせー」

「あからさまに見込み客の情報を取りたがってるな〜、めんどくせー」

ってなりませんか?(笑)

公開している情報で見込み度をコントロールできる

「いやいや、わざわざホームページに来てくれた人をみすみす見逃すわけにゃあいかんでしょ!」

というお気持ちもわかります。

確かに、ホームページ上に掲載する情報を制限した場合、一時的に問い合わせが増えることもあります。しかし、その問い合わせの中には見込み度の高いユーザーもいれば冷やかし程度のユーザーも存在します。

価格を知りたいという問い合わせがあったとしましょう。

ユーザー:「ネットに値段がなかったのですが、いくらするんですか?」
スタッフ:「はい、〇〇タイプなら〇〇円で、オプションとしては〜」
ユーザー:「わかりました。ありがとうございます」

このような会話だけで終わるケースも多くありませんか?

営業力に自信のある方なら、ここから会話を広げて上手く来店や成約につなげることができるかもしれません。しかし、すべてのスタッフにその「営業力」はあるでしょうか。できれば、「見込み度の高い問い合わせ」をもらって楽に商談にすすみたいものです。

一方で、しっかり情報公開していれば、その時点で冷やかし程度のユーザーからの問い合わせを省くことができます

たとえば、「明朗価格で1万円!」と表示していれば、1万円を高いと思うユーザーからの問い合わせは少なくなるはずです。つまり、購入の見込みが少ないユーザーに対応する労力を削減することができます。

無駄な問い合わせ対応に時間を使ってスタッフの生産性を下げるよりも、見込みの高いユーザーに誠心誠意の対応をしたほうが会社にとっても利益になります。

また、ユーザーからしても問い合わせに使う時間を無駄にしなくていため、できる限り情報を公開しているほうがお互いハッピーでしょう。

情報はできる限り出してくれているほうが、ユーザーは自分に合っているかどうかを選別できるし、企業もユーザーもお互いにとって時間が無駄にならずに済む

というのが僕個人の見解というか結論です。

どうしても公開したくない情報がある場合は…

とは言え、競合にみられたくない場合や、中途半端な情報が誤って伝わることでクレームになるような情報はあります。このように、直接接触するまではどうしても非公開にしておきたい情報がある場合は、「情報が見せられない理由」を明確にしておくことが大切です。

たとえば、「フルオーダーメイドで作成しており、お客様により料金が異なるため、直接お問い合わせください」や「機密情報保護の観点からインターネット上では公開できないため、直接ご来店ください」のように、自社が強引に売り込みをするために隠しているわけではないという旨を伝えるだけで、ユーザーの心象は変わります。

とは言え、「できる限り情報は公開する」というスタイルは今の時代に不可欠です。可能な限り、ユーザーが判断する上で必要な情報を提供し、より見込み度の高いユーザーを集客できるよう意識することが大切です。

なお、BtoBをメインにしている企業では価格を表示していない企業もたくさんあります。これは「見積もり」という概念が浸透していることや、基本的にオーダーメイドなサービスであることが多いためです。

しかし、業界・業種によってはこれを逆手に取って明朗価格を表示することで他社と差別化しているパターンもあります。価格表示ひとつを取ってもその企業の戦略や方向性が見えてきますね。