昨今、ECサイトでの販売を検討されている企業も多いと思います。どの企業も、ECサイトを始めて1番最初につまずくところが新規顧客の獲得です。まず1人目のお客様に買ってもらわないことには何も始まりませんよね。
一方、ユーザー視点でみてみると、知らないお店の商品を購入することは思いの外ハードルが高く感じることも多いでしょう。ましてや、楽天やAmazonなどのモール型ではなく、自社独自のECサイトであればクレジットカードなどの個人情報を入力することにすら抵抗を感じる場合もあるでしょう。
しかし、前述のようにまず買ってもらわなければ始まりません。一度買ってもらえさえすれば、お客様の連絡先も取得できるため、様々な施策を講じることができますので、初回購入をしてもらうためのポイントを簡単にお伝えさせていただきます。
重要なことは初回購入のハードルをいかに下げるか
どれだけ素晴らしい商品をつくっても、どれだけ優れた広告をしたとしても、いきなり知らないお店で数千円、数万円の商品はなかなか買えません。だからこそ、初回の購入のハードルは思いっきり下げてあげる必要があります。
商品のジャンルにもよりますが、無料の試供品や低価格なお試し品を設定し、少量でもいいのでまずは試してもらいます。いかに心理的な負担をミニマムにしてリピートしやすい商品を体験してもらうかが大切です。そのための商品を設計し、それに対するプロモーションをかけていきます。
低いハードルを超えさせて、高品質な商品を提供し、最初に上質な体験をしてもらう。その体験が良ければ、商品のランクアップを検討してくれるようになります。ゲームアプリなどが基本プレイは無課金でも遊べるケースが多いのも同様の理由です。
「顧客の質」が下がるのでは?
初回の購入体験を設計していく上で、ハードルを下げると、顧客の質が下がるのでは?と心配される方も多いでしょう。これについては、間違いなく顧客の質は下がります。
ランクアップ商品の購入意思がない人、そもそもあまり商品を必要としていない人たちが「無料だからとりあえず」「安いし買っとくか」という理由で訪れることが多くなるでしょう。このような方が増えてくると、当然企業は儲かりません。
では、どうすればいいでしょうか?
そう、購入のハードルを下げたら、次は体験のハードルを上げるのです。
体験のハードルを上げる
「体験のハードル」には、たとえば以下のようなものが挙げられます。
- 試供品や無料サンプルを提供する代わりにモニターアンケートに回答することを条件とする
- 初月は無料だけど、クレジットカード情報の入力を必須にする
- Googleアカウントなどでのログイン・紐付けを必須にする
このようなハードルを設けることで、本気度の高い人だけが次のステップに進むことができます。必要だけど踏み出しきれない人の背中を押してあげる仕組みができるのです。
ここの「購入のハードルの低さ」と「体験のハードルの高さ」のバランスは商品のジャンルにより異なりますが、購入のハードルを下げ、体験のハードルを上げる。これが初回購入の設計のポイントです。
初回購入者にはしっかりフォローする
ハードルを下げて初回購入にこぎつけたものの、それだけで終わってしまっては、企業としては儲けが出ません。そこで大切なことは、最初の接触でいかに心証を良くするか、信頼できるお店であることを分かってもらえるかです。
具体的な例をひとつあげると、注文完了メールを工夫しましょう。
モール型のECサイトを含め、多くのECサイトはユーザーが購入した際に注文が完了したことを確認するメールを送るはずです。多くの場合は定型文を自動送信することが多く、「ご注文ありがとうございました」のようなそっけない文字だけのメールが送られます。これではシステムで送られてきたメールだと丸分かりで、心一つ動かせません。
まずはここを改善しましょう。
もともと初めてのお店で初めての商品を買うという行為自体が、ユーザーにとっては少なからず不安の大きい行為です。不安のある中はじめてのご購入に対する丁寧な御礼や、お店のコンセプト、不明点があった際の連絡先など、温度感のあるコミュニケーションを取るのです。
この不安感があることを理解し、共感すること。そして、しっかりフォローしてあげることでお店の心証を何倍にもしてくれるのです。
具体的には、
- 商品が届くまでの流れ
- どのような梱包で届くのか
- 購入したお客様からどのようなお声があったのか
- おすすめの用途やアレンジ方法
などなど、商品が届いた後のことを具体的にイメージできるようにフォローできると良いでしょう。
方法としては該当のWEBページのURLを送ったり、YouTubeの動画を掲載したり、簡単なGIF画像などでも構いません。
ユーザーにとって、購入直後が最もテンションを高く保っているタイミングです。それにも関わらず、ほとんどの通販サイトでは文字だけの素っ気ないシステムメールが送られてくるのですから、これはチャンスです。きっちり差別化するためにも温度感の高いメールを送るようにしましょう。
モール型の場合はテンプレートの文章しか送れないような場合もありますが、そういう場合は少し手間をかけてでも個別でメールを送るべきです。特に最初の2〜3回の接触は心証を左右する大切なタイミングです。コミュニケーションは店頭接客と変わらないレベルの気遣いや温かさを実現できないか、あらゆる表現を検討しましょう。
まとめ
ECサイトで最大の課題である初回購入をしてもらうためには、まず購入のハードルをいかに下げることが出来るか。自社の商品ではどのように設計すればハードルを下げることができるのか検討してみてください。その上で、ある程度顧客の質を担保するため、体験のハードルを調整することも同時に検討しましょう。初回購入者へのフォローからアップセル商品までの導線もしっかり計画しておくことも重要です。手厚くフォローした初回購入者をリピーターに引き上げ、中長期で関係性を築き上げる仕組みが必要です。