こんにちは。イチナナマーケティングのhiro-yanです。
デジタルでの集客が台頭する現代において、WEB広告が注目されていますが、地域によっては未だ主流の集客手法が「チラシ」です。新聞折込やポスティングなど、地域密着型ビジネスにおけるエリアマーケティングの代名詞とも言えるチラシ集客。
規模の大きい企業では内部にデザイナーが在籍していることもありますが、ほとんどの企業はチラシ集客を検討する際は外注することになると思います。本記事では、チラシ制作における外注先候補はどんなところがあるのか、また、それぞれの特徴はどんなものがあるのかをチェックしていきます。
チラシ制作にかかる費用
まず、外注を検討する前にチラシ制作にはどのような費用がかかるのかを確認しましょう。主に「デザインする費用」「印刷する費用」「配布する費用」の3つです。
デザインする費用
文字通りチラシをデザインするのにかかる費用です。チラシのサイズや目的、企画までするか、デザイナーの実績や工数、制作会社の規模などにより大きく異なり、最も変動的な費用がこのデザイン費です。
「サイズ」については、チラシサイズによって掲載できる情報量が変わるため、大きいサイズほど高額になることがほとんどです。ただ、同じサイズであっても情報量の違いによって金額が変わることもあります。たとえば、中古車のチラシのように何十台も車の情報を掲載しないといけない場合は、手間がかかる分、価格が上がる可能性もあります。また、チラシの訴求内容やコンセプトなどの「企画」の部分を自社でやるのか、外注先に依頼するのかで費用が変動する場合もあります。加えて「デザイナーの実績」や「制作会社の規模」がデザイン費に影響する場合もあります。このように、チラシの内容や制作会社によって金額が大きく異なるのがデザイン費です。事前にしっかりと打合せを行い、見積もりを出してもらうことが大切です。
デザインする費用を決定する要素
- チラシのサイズ
- 企画をするかどうか
- デザイナーの力量や工数
- 制作会社の規模
印刷する費用
これも文字通り印刷にかかる費用です。デジタルチラシとして利用する場合や自社のコピー機で出力して使用する場合は必要ありませんが、大量にチラシが必要な場合は印刷を外注することが多いでしょう。印刷を外注する場合、チラシの「サイズ」や「紙質」「厚み」「加工の有無」などにより費用が決まります。
「サイズ」についてはA4やB4などどのようなサイズでチラシを制作するかで費用が決まり、基本的にはサイズが大きくなればなるほど費用は高くなります。「紙質」は「コート紙」「マットコート紙」「上質紙」など紙の種類により費用が変わり、大量に印刷する場合は「コート紙」と呼ばれるツヤのある紙が多く流通しているため最も安価です。「厚み」は「コート90kg」のように「〇〇kg」と表示され、この数字が小さいほど薄い紙になります。薄いほど安価になる傾向がありますが、一般的な折込チラシであれば「50〜90kg」がよく使われています。「加工の有無」については、チラシを2つ折や3つ折にする「折加工」やクーポンに使われる「ミシン目加工」など、通常に印刷に加えて加工を施すほど高額になります。
印刷する費用を決定する要素
- チラシのサイズ
- チラシの紙質
- チラシの厚み
- チラシの加工
配布する費用
もちろんチラシは印刷しただけでは意味がありません。チラシが出来上がってからどのようにして配布するかで大きく費用は変わります。店先で配ったり、自分の足で配って回る場合はその手間だけで済みますが、新聞やフリーペーパーなどの媒体を通じて配布する場合は折込費などがかかります。また。ポスティングのように配達員を外注することもあります。配布を外注する場合、「媒体」「エリア」「日程」などにより費用が変動します。
「媒体」については新聞折込やフリーペーパー、ポスティングなどの配布手段で費用が変わります。サイズやエリアにもよりますがこの3つの中では新聞折込が安価な傾向があります。「エリア」については媒体によって異なるものの、住宅が密集しているエリアは安価になり、1軒1軒の家が離れているエリアや高低差のあるエリアほど高額になります。「日程」については新聞折込やフリーペーパーは指定した日で一気に配布するため、変動しません。ただポスティングを依頼する際は「◯日〜◯日の間で配布してください」といったように、余裕を持った日程で依頼すると安くなる場合もあります。
配布する費用を決定する要素
- 配布する媒体
- 配布するエリア
- 配布する日程
チラシ制作を外注するメリット・デメリット
チラシ制作を外注するメリット
チラシ制作を外注するメリットは以下の通りです。
チラシ制作を外注するメリット
- 自社の手間を削減できる上、品質の高いチラシが作成できる
- 自社の発想になかった提案を受けられる
- 販促物や集客戦略の見直しができる
まず第一に、当然ですが自社の手間を削減できることと、品質の高いチラシを作成することができることが代表的なメリットと言えるでしょう。
また、自社の発想になかった提案を受けられることも大きなメリットのひとつです。「自社ビジネスのことは自社が一番わかっている」と思われるかもしれませんが、実はそうでない場合も往々にしてあります。あまりにも自社が所属する業界のことを知りすぎて、業界の慣習や常識にとらわれて視野が狭くなってしまい、案外簡単な解決策に目がいかなかったりします。特に「自社の業界やビジネスは特殊だ」と感じている場合は要注意かもしれません。たとえば、ある業界ではすでに当たり前になっていることも、別の業界では革新的な内容であることも多々あります。制作会社は第三者として客観的な目線で依頼主のビジネスを見ることができるため、自社にとって盲点だった提案が受けられることもあります。特に自社が所属する業界だけではなく、多種多様な業界の制作実績がある制作会社からはさまざまな視点で提案を受けることができるかもしれません。
加えて、チラシを制作する過程で、制作会社と何度も打合せを行うと思います。その中で制作会社からヒアリングを繰り返されることで、自社の集客課題に気づくことが多々あります。チラシに関する問題だけではなく、営業組織自体を改善する必要があることに気付いたり、ホームページの改善の必要性に気付いたりと、真剣に集客課題に向き合うきっかけとなることもあるでしょう。これらは先ほど述べたメリットと似通う部分があり、第三者が入ることにより、自社だけでは気づくことのできなかった点にスポットライトが当たるからです。実際に、チラシ制作を行う過程で「事業戦略が整理された」というようなケースもあります。
チラシ制作を外注するデメリット
チラシ制作を外注するデメリットは以下の通りです。
チラシ制作を外注するデメリット
- コストがかかる
- かえって手間がかかってしまう可能性もある
- 自社内に知識やスキルが蓄積されない
当然ですが、チラシ制作を外注する際はプロの力を使うことになるため、それなりのコストが必要となります。デザインの外注は数万円はかかりますし、印刷も大量にするとなると数十万円に及びます。配布についても新聞折込であれば1枚あたり3円以上、ポスティングであれば4円以上はかかるでしょう。トータルの費用で言えば、たとえば新聞折込チラシを5万部配布しようと思うと30万円前後の費用が必要です。しっかりと費用対効果が見合うかどうか検討することが大切です。
また、制作会社が依頼主側のビジネスを理解していない場合や営業担当の力量不足で取り回しや段取りがつたないような場合はかえって手間がかかってしまうこともあります。営業担当者の力量不足は言わずもがなですが、特にビジネス理解が乏しい場合は、打合せや指示がスムーズにいかず、何往復もやりとりを繰り返すこともあります。さらには、やっとデザインができたかと思えば、的を射ていない内容で提案されたりと、手間が何倍にもなるケースもあり、チラシのクオリティにも影響を及ぼします。
さらに、外注する際のリスクのひとつとして、自社内に知識やスキルが蓄積されないことがあげられます。特に制作会社に完全に丸投げしてしまっているようなケースでは自社にチラシ集客に関する知識やスキルが蓄積されません。チラシに用いるキャッチコピーや商品の見せ方、紙の種類や厚みによる影響、配布エリアの選定など、何が自社の集客にとってベストなのか、本来は自社の経験として蓄積されていくことが望ましいはずです。これらの知識やスキルが蓄積されないことは実は大きなリスクです。仮に制作会社が代わる場合に、自社の担当者にその知識やスキルがなければ、またゼロベースからチラシ集客を考えていかなければなりません。自社の担当者が異動や退職してしまうたびにゼロベースに戻ってしまう企業もあります。リスク管理の観点からも、しっかりと制作会社とのやりとりを自社の知識として蓄積することをおすすめします。とは言え、あまりに手間がかかりすぎると何のために外注しているか分からなくなってしまいます。制作会社に「なぜのデザインなのか」「なぜこのキャッチコピーなのか」「なぜこのエリアに配布するのか」などしっかりと根拠を聞いておきましょう。
チラシ制作の外注先候補とその特徴
印刷会社 | デザイン会社 | 広告代理店 | フリーランス | ||
得意なこと | 印刷技術・印刷知識は圧倒的 | デザイン力は圧倒的 | プロモーション力は圧倒的 | 属人的だがコストは安い傾向 | |
不得意なこと | デザインやプロモーションは不得意な傾向 | プロモーションは不得意な傾向 | 下請け依存の場合は品質にムラあり | 属人的だがデザイン制作以外は受付していないことがほとんど | |
こんな場合におすすめ | デザイナーが社内に在籍している会社 | デザインが売上やブランドイメージを左右する業界 | デザイン〜配布まで、すべてのフェーズを一貫して任せたい | 費用や納期面で融通を利かせてほしい企業 |
印刷会社
印刷会社にも種類があり、印刷だけではなく、社内にデザイナーを在籍させてチラシデザインまで受け付けている会社もあります。中には折込手配などチラシの配布まで受け付けている会社もありますが、規模の大きい印刷会社に限ります。
印刷会社の強みとしては、やはり印刷技術の高さと印刷に関する知識の豊富さにあります。チラシの内容や目的に応じて最適な紙質を提案してくれる上、どのように印刷すれば最もチラシのデザインが活かされるかを熟知しています。
一方で、デザインは専門的ではない分、デザイン会社などと比較するとクオリティは低くなりがちです。ただ、デザイン会社などと比較すると、安価でデザイン制作を行う会社もあるため、チラシのデザインやレイアウトにこだわりがなければ問題ないかもしれません。ただ、チラシデザインは会社のブランドイメージに影響することもあるため要注意です。また、作成後のチラシ配布やそれ以外のプロモーションについては苦手とするところが多いでしょう。
印刷会社への外注をおすすめする企業は、社内にデザイナーがいる企業です。社内デザイナーは印刷に関するの専門的な知識を持たない場合も多いので、作成したチラシを最大限に表現するため、印刷会社への外注を検討しても良いでしょう。印刷技術の高さについては細かい部分ではありますが、チラシ全体の仕上がりにも影響するため、繊細なデザインのチラシ制作を行いたい場合に、強力な味方となります。また、印刷にかかる費用を抑えたい場合にも印刷会社に外注する際はおすすめです。印刷会社に直接依頼することでマージンが発生しないためです。
Pointデザイナーの作成したチラシを最大限に活かす印刷技術と知識がある印刷会社。マージンが発生しない分、印刷コストも抑えられる傾向があります。社内にデザイナーが在籍している企業は検討してみてはいかがでしょう。
デザイン会社
デザイン会社にもさまざまな種類がありますが、ここではチラシやパンフレットなどの紙媒体を専門とするDTP専門のデザイン会社を指します。「WEBも紙もできます!」という会社もありますが、WEBデザインと紙デザインは表現の幅が異なるため、本格的なチラシ作成の場合は紙を専門とするデザイナーに依頼するのがいいでしょう。
デザイン会社の強みとしては、もちろんデザイン力の高さです。さまざまなデザインの幅を持っているため、ある程度抽象的な依頼であっても形にしてくれるスキルや実績があります。加えて、名刺やパンフレットなどのチラシ以外の制作物も同時に依頼することができ、一貫性のある販促物制作を実現することができます。
一方で、デザインに関する高いスキルを持っているため、デザイン費自体はやや割高なところが多い傾向があります。しかし、それに見合うだけのデザイン力があります。また、印刷会社と同様に作成後のチラシ配布やそれ以外のプロモーションについては苦手とするところが多いでしょう。
デザイン会社への外注をおすすめする企業は、ファッションや美容関係などデザイン自体が会社やブランドにとても大きな影響を与える業界の企業です。その他、大学や専門学校のフライヤーやパンフレットなど、ビジュアルイメージそのものが印象を左右する制作物を作成する場合もデザイン会社への外注をおすすめします。
Pointデザイン自体の品質が売上やブランドイメージを左右する業界は、デザイン会社が圧倒的におすすめです。チラシ以外の制作物も可能な会社が多く、すべての制作物を同じデザイン会社に依頼することで、ブランドイメージを統一することもできます。
広告代理店
広告代理店にも種類はありますが、共通する特徴としては集客や販促の手段を豊富に持っていることがあげられます。大別すると2種類の広告代理店があり、「広告枠」を販売することをメインにしている広告代理店と、「広告物の制作や運用」をメインにしている広告代理店があります。本記事では後者の「広告物の制作や運用」をメインにしている広告代理店について解説します。
広告代理店の強みはプロモーション力です。チラシを配布する手段としての「新聞折込」や「ポスティング」なども一括で依頼できる上、さまざまな業界・業種のデータや経験を持っているため、配布エリアの選定やチラシ投函のタイミングなど、反響を最大限に高める術を持っていることが多いでしょう。また、デザイン性の高さはデザイン会社に劣る傾向があるものの、チラシのキャッチコピーや内容についても「いかに集客ができるか」という視点でのデザインは得意です。加えて、新聞折込の価格は広告代理店を通した方が安くなる可能性もあります。何社分ものチラシの折込を折込会社に依頼しているため、その分価格を安く融通してもらっているからです。
一方で、中には各フェーズを下請けに出している広告代理店もあり、その場合は全体として価格が高くなる傾向があります。さらに、下請けのスキルに依存するため、品質が安定的ではなかったり、関わる会社が多い分だけスケジュールを圧迫するケースもあります。自社で制作部隊を持っているのかどうかを確認することも大切です。
広告代理店への外注をおすすめする企業は、「チラシ制作の知識や経験が少ない」企業や、「チラシ制作におけるすべてのフェーズを任せたい」と考えている企業です。チラシ制作においては前述の通り「デザイン制作」「印刷」「配布」の3つのフェーズがありますが、広告代理店に依頼すればすべてのフェーズを一括で依頼することが可能です。各フェーズで別々の業者を探す手間は意外と大きいものですし、それぞれの業者に同じような説明を何度も行い、同じようにきちんと理解してもらい、一貫性のあるチラシ制作を指揮することは難易度の高いことだと思います。また、チラシ以外にもさまざまな集客手段を検討している場合にも広告代理店はおすすめです。
Point「チラシ制作の知識や経験が少ない」「すべてのフェーズを任せたい」という企業におすすめの広告代理店。チラシ制作におけるプロモーションや集客に関する自信がない場合は依頼を検討してみてください。実は新聞折込の価格も代理店を通したほうが安くなるかもしれません。(会社により異なります)
フリーランス
フリーランスのデザイナーは十人十色です。フリーランスへの依頼はクラウドワークスのようなソーシャルサービスが主ですが、社内メンバーの知人などに依頼することもあるでしょう。もともとデザイン会社に勤めていた方が独立してフリーランスになることが多いのですが、その力量や納期などは本当の意味で千差万別です。フリーランスに依頼する場合、ほとんどのケースで「デザイン制作」のみを依頼し、「印刷」「配布」は別の業者に任せることになるでしょう。
フリーランスの強みは人によりまったく特徴が異なるため、あくまで一般論として言えることですが、「価格の安さ」と「スケジュールの融通がききやすいこと」です。企業を通さない分、デザイン費用を抑えられることが多いでしょう。また、スケジュールに縛られない働き方をしている人も多いため、企業が動いていない「夜の時間帯」や「土日祝日」などに仕事を進めてくれることもあります。一方で、実績や経験が多く、人気のフリーランスの方ほど当然ながら価格は高く、依頼で埋まっています。
フリーランスへの依頼をおすすめする企業は、「とにかくコストを抑えたい」「スケジュールに融通をきかせてくれるところに依頼したい」という企業です。ただ、何度も申し上げますが、フリーランスは十人十色です。自社とうまくマッチする方と組める場合はベストな選択になるかもしれませんが、ベストマッチな方と出会えるまで探す労力が必要です。チラシ制作の経験と知識があり、フリーランスの力量を見極めることができる企業であれば最もコストパフォーマンスのいい外注先となる可能性を秘めています。
Point最も費用が抑えられる傾向があるフリーランス。十人十色のフリーランスの中から自社にぴったりと合う人を見つけ出すのは至難の業ですが、もし自社へのマッチ度の高いフリーランスが見つかれば、コスト・クオリティともにベストな選択になる可能性も秘めています。
チラシ制作の外注先選びのポイント
制作実績を確認する
制作会社の力量や自社の業種・業界とマッチしているかどうかを把握するためには、制作実績を確認するのがマストです。制作実績を確認する際のチェックポイントは以下の通りです。
制作実績のチェックポイント
- 自社の業界やサービスに近い制作実績はあるか
- 制作実績の数は十分か
- チラシの内容やデザインにそれぞれオリジナル性があるか
まず、当然ながら最もわかりやすいポイントは「自社の業界やサービスに近い制作実績があるかどうか」です。たとえば、自動車販売店であれば、同じ自動車販売店の制作実績を確認することで、制作会社が自社と組んだときにきちっと仕事をしてくれそうかの判断はつきやすいでしょう。特に、業界によっては外せない内容だったり、遵守しないといけないルールが存在します。また、場合によっては薬機法や景品表示法などの法律違反となることもあるため、このあたりのルールを守れているのかも確認しましょう。
あと、「制作実績に掲載されているチラシの数」も重要な要素です。稀に「制作会社が見せたい制作実績」しか掲載されていないこともあります。この場合の制作会社の意図は2パターンあります。1つは、掲載している制作実績と同じような規模の会社の受注が欲しい場合。2つめは、ホームページに掲載できるような制作実績が乏しい場合です。いずれにしても制作実績が少なく、自社に取って期待できるようなものでない場合はマッチしていない可能性が高いので注意しましょう。
最後に「チラシの内容やデザインにそれぞれオリジナル性があるか」というポイントです。制作会社の中には、制作価格を抑える代わりに、いくつかのテンプレートをベースにしてチラシデザインを行うところがあります。もし、自社の作りたいチラシがテンプレートにピタリとはまる場合は問題ありませんが、1社1社、特徴や企業規模、集客課題は異なるため、テンプレートデザインでは対応が難しい場合がほとんどです。制作実績に掲載されているチラシを確認したときに、キャッチコピーの場所やアイキャッチ(目を引かせる写真やイメージ)の場所が、どのチラシも似通っている場合はテンプレートを利用しているか、テンプレート的な対応しかできない場合があります。
営業担当者の力量を確認する
チラシ制作を外注する際においては「営業担当者の力量」も重要となります。
営業担当者のチェックポイント
- レスポンスの速さ
- チラシ制作に関する知識・経験
- 依頼主側のビジネスへの理解度
当然ですが「レスポンスの速さ」はとても重要です。後述しますが、チラシ制作には平均的に1〜1.5ヶ月程度の期間がかかります。多くの場合、制作会社側のフロントには営業担当者が立ちます。担当者のレスポンスが遅いと、1回1回のやりとりに日数を要することもあり、限られた制作時間を圧迫します。ひどい場合には納期をずらさざるを得ないこともあります。制作会社によってはデザイナーが直接やりとりをするケースもありますが、この場合はデザイナーのレスポンスも重要です。依頼前には「制作会社の誰がメインでやりとりをするのか」「平均的なレスポンスの速度はどれくらいか」「平均的に何度くらい校正を行えるのか」などを確認しましょう。また、見積もり提出時のレスポンスも参考になるでしょう。あまりに見積もり提出に時間がかかる場合は、営業担当者が忙しすぎるか、組織として仕組みが作られていないことが考えられます。
「チラシ制作に関する知識・経験」があるかどうかも重要です。制作会社の担当者はみんな知識があるだろうと思われがちですが、そうではありません。意外にもデザインのことはまるっきり分かっていなかったり、集客ノウハウも表面的なものしか持ち合わせていないことは多くあります。このような担当者にあたってしまった場合、自社の意図を汲みきれずに、思ったようなチラシを制作できません。クオリティーはもちろんのこと、制作期間も長引いたり、満足のいかないまま納期がきてしまったりします。依頼側に知識や経験がないと、この部分を判断することは難しいかもしれませんが、少しでも気になったことは遠慮なくすべて質問をしましょう。質問に対する受け答えである程度信頼に足りそうかは判断できると思います。
最後にとても重要な要素が「依頼主側のビジネスへの理解度」です。ある程度、実績や知識があったとしても、これが欠けている制作会社と組むことはできません。もちろん、中には特殊な業界や業種もあるため、すべてのビジネスを理解することはできません。しかし「どれだけ理解しようと努めているか」という姿勢がチラシ制作の成果に大きく影響します。そもそもチラシという存在は「誰かに何かを伝える媒体」です。チラシには紙面に限りがあるため、掲載できる情報量が限られています。その限られたスペースの中で、お店に来てもらったり、注文をしてもらったり、読者になんらかのアクションを起こしてもらえるように伝えなければならないのがチラシです。そのため、この「ビジネスへの理解」は非常に重要なポイントとなります。制作会社が自社のビジネスをどれくらい理解してもらえているかは、会話の中である程度判別することができると思います。その姿勢を判断するためには「どれくらいヒアリングしてくれるのか」「どれくらい確認をしてくれるのか」という頻度に注目してください。「分かったふり」が一番危険です。なお、制作会社の中には「創業時のこと」や「創立者の想い」などをヒアリングすることで、その企業のルーツから強みを見出すようなヒアリングを行うところもあります。
相見積もりを取る
外注時には当たり前とも言えますが、必ず相見積もりを取るようにしましょう。相見積もりを取る際のポイントは以下の通りです。
相見積もりのチェックポイント
- 必ず同じ仕様・条件で比較する
- 納期も必ず記載してもらう
- 加工が必要な場合はオプション料金に注意する
相見積もりを取る際は必ず各社ともに同じ仕様・条件で依頼するようにしましょう。たとえば同じB4サイズのチラシデザイン制作と印刷であっても、会社によっては標準としている紙の厚みや仕上がりが異なることもあります。制作会社の規模によっては、特定の仕様しか取り扱っていないこともあります。また、新聞折込の場合、折込価格の表記が会社によって微妙に異なる場合があります。折込料金とは別で「配送費」や「配送管理費」という名目で費用が設定されているケースも多いので、折込料金は必ず総額で見積もりに記載してもらうようにしましょう。
また、納期も必ず明記してもらうように依頼しましょう。まったく同じ仕様であっても、制作会社によっては納期が数日異なる場合もあります。場合によっては短納期での依頼は特急料金として別途料金がかかることもあります。この数日が後からきいてくることもあるので、注意しましょう。
最後に、2つ折りや3つ折りなどの「折加工」や1枚1枚のチラシに管理番号を掲載する「ナンバリング加工」、クーポンなどに利用する「ミシン目加工」などいわゆるオプション加工が必要な場合は、必ず事前に伝えるようにしましょう。加工内容によっては高額になる上、納期が余分に必要になります。意外と依頼の多い加工としては「袋断裁」があります。チラシには「袋」といって、印刷範囲の外側(四方)に何も印刷されていない無地の部分があります。見栄えや印象を重視する際に、この無地の袋の部分をなくしたいと希望されるケースもあります。これを「袋断裁」と言いますが、カットする工程が加わるため、ほとんどの場合、追加で費用と納期がかかります。これらの加工やオプションも事前に確認するようにしましょう。
Pointチラシの見積もりを取る際は以下の要素を揃えて提出してもらえるよう依頼しましょう。
- サイズ(B4やA4などが一般的)
- 紙の種類(コート紙やマットコート紙など、コート紙が一般的)
- 紙の厚み(〇〇kgと表記され、50kg〜90kgが一般的)
- 納期(早いに越したことはない)
- 折込の価格(見積もりを取るエリアを統一し、総額で出してもらう)
- 加工の有無(折加工やナンバリングなど)
▼ チラシに用いる紙のサイズについては以下の記事で解説しています。
チラシ制作を外注する際の事前準備
目的・目標を明確にしておく
最も重要なことですが、チラシを制作する目的・目標をしっかり明確にしておきましょう。「集客したい」「売上を上げたい」というのは大前提ですので省きます。たとえば「今期の車検予約台数を達成するため、今週の車検予約を20件とる」や「今月の売上目標を達成するため、今週末の来店数を120%にする」「商品Aの販売比率を上げるため、商品Aの問い合わせを10件とる」など具体的な数値を伴う目的・目標です。
なお、できるだけ多くの目的や目標を達成したいというお気持ちもわかりますが、複数の目的を1つのチラシで達成することは困難を極めます。掲載スペースが限られているため、複数の目的を達成しようとすればするほど、それぞれの情報量が中途半端になるからです。また、読者がチラシを読むことにかける時間は無制限ではなく、ほとんど一瞬と言えます。限られた時間の中で、複数の目的を伝えることは合理的ではありません。
担当者・決済者を明確にしておく
意外と重要なことが外注業者とやりとりする際の「担当者」と、最終的にチラシの内容や各種手配にOKを出す「決済者」を明確にしておくことです。特に携わるメンバーが複数人いる場合、それぞれがバラバラに制作会社へ指示を出してしまうと、まったくまとまりのないチラシが出来上がります。社内で意見をしっかりと意見をまとめ、代表となる担当者が制作会社と打合せできる体制を整えておきましょう。また、当然ですが「最終的に誰がOKを出すのか」も決めておきましょう。この決済者が曖昧な場合、各種の確認に時間が掛かり、あっと言う間にスケジュールが圧迫してしまうこともあります。
チラシに使う素材を準備しておく
チラシデザインの素材などは外注先が準備してくれますが、以下のものは自社で準備しておかなければなりません。
自社で準備しておきたいもの
- ロゴマークのデータ
- お店の写真データ
- 商品の写真データ
- 商品の仕様書やパンフレットなどの資料
- 社内資料
- 顧客データ
「ロゴマークのデータ」や「商品の写真」「お店の写真」について、制作会社に撮影してもらう場合は別途費用がかかることもあります。プロの撮影が必要な場合はそれなりの費用になります。可能であれば自社で準備しておきましょう。なお、ロゴマークも含め、自社で準備する場合はデータサイズの大きいもの、解像度の高いものを準備しておきましょう。あまりにサイズが小さかったり、不鮮明な場合は印刷の際に画像がつぶれることもあります。
「商品の仕様書やパンフレットなどの資料」「社内資料」については、商品の価格やスペックの情報を正確に掲載するためです。口頭でも正確に伝われば問題ありませんが、万が一あとからトラブルになることもあるため、根拠となる資料として渡しておくのがベストです。
最後の「顧客データ」ですが、個人情報ですので提供できる範囲で構いません。「自社の顧客はどのような人が多いのか」といったようなある程度の傾向がつかめるような情報を提供すると良いでしょう。そうすることで、制作会社側としても具体的な顧客像がイメージできるため、チラシデザインの方向性やどのような紙を使うか、どのようなエリアに配布すべきかなどを検討しやすくなります。
ターゲットを明確にしておく
「売れれば誰でもOK」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、しっかりとターゲットを決めておくことを推奨します。ターゲットが不明確な場合、チラシの内容が「誰にでも言えるような内容」にしかならず、インパクトの弱いものになってしまうからです。
またターゲットを決める際はある程度細かく決めましょう。たとえば、「40代の女性」にチラシを読んでもらいたい場合と、「40代でこどもが高校受験を控えている主婦」とではチラシの作りやすさが変わってくると思いませんか?
スケジュールを確保しておく
チラシをデザインし、印刷、配布するまでは意外と時間がかかります。最も時間がかかるのはデザインの部分です。チラシ制作を外注した場合、平均1〜1.5ヶ月程度の期間が必要です。また、新聞折込なのかポスティングなのかなど、チラシの配布方法によっても必要な期間は異なります。チラシ制作に慣れている場合や、その外注先へ何度も発注している場合は数週間で制作できることもありますが、外部的な要因でチラシの内容を変更しないといけないようなイレギュラーが発生することもあります。また、ホームページなどと異なり、チラシは印刷してしまえばもう内容を変更することはできません。チェック作業にも十分な時間を設けたほうがいいでしょう。基本的には余裕を持ったスケジュールを確保しておきましょう。
▼ チラシ制作にかかる期間についてはこちらで詳しく解説しています。
まとめ
令和の時代でも、地域密着型のビジネスにおいては企業の売上や集客を左右するチラシ制作。チラシ制作の外注にはコストも手間もかかります。最適な視点を身につけ、自社にマッチする外注先を見つけることができれば、一気に集客が加速することも多々あります。数ある制作会社の中から優れた会社を見つけることは非常に労力のかかることだと思います。ぜひ本記事を参考にしていただければ幸いです。