『【ホームページの外注選び】相見積もりで失敗する理由』の記事で、ホームページの外注依頼の際に、なぜ相見積もりが機能しないのか?を考察したように、ホームページ制作を「コスト」ではなく「投資」として捉えることが重要です。
それでは、ホームページ制作を「投資」として考え、掛かる費用に対してきちんと見返りのある、リターンが期待できる提案を出してもらうためには、どのような依頼の仕方をすればいいのでしょうか。
費用対効果の良い提案を引き出す外注依頼の出し方
ここからは、ホームページを提案する側の本音の部分ですが…
もっとも良い提案が期待できる外注依頼の仕方は、鎌をかけずに予算と目的をしっかり伝えることです。予算と目的を明確に提示し、その中で最もパフォーマンスが発揮できる提案をさせることで、その制作会社の実力が図れます。
可能であれば、下記のような提案依頼の仕方が理想的です。
「新商品の〇〇を軸とし、既存の〇〇という高単価の商品を販売する足がかりにしたい。」
「この新商品は〇〇なユーザーをターゲットにしている」
「そのため、ターゲットとなる〇〇なユーザーのアクセス数を増やし、月に◯件の販売目標を達成したい」
「できれば100万円までで提案して欲しいが、提案によっては120万円までは検討できるので、この中で最高の提案をして欲しい」
というような依頼の仕方がもっとも費用対効果のいい提案を引き出す方法です。
また、ホームページは「公開すること」よりも「つくってから」のほうが重要です。
そのため、納品・公開後のサポートも含めて、6ヶ月〜1年間ぐらいの期間の予算を提示しておくと、より成果にコミットした提案が受けられます。
「制作費用と公開後のフォローも含めて、1年間で150万円の予算で最高の提案をしてください」という依頼が一番パフォーマンスを引き出せる依頼です。
「でも、予算を明確に伝えないほうが、より安く作れるのではないのか?」と思う気持ちもわかります。しかし、予算を明確にし、その中で発注側の目的を叶える提案をもらうほうが、制作会社は実力を発揮してくれます。
中途半端な提案で「うちは制作費用を抑えていますので…」と制作会社に言われるぐらいなら、「100万円までなら出せるので、この中で最高の提案をしてください」と伝えたほうが、制作会社の実力もわかりますし、費用対効果の良い提案が受けられるでしょう。
また、「より安く作りたい」という思いが優先されている場合、これはホームページ制作を「コスト」と捉えている考え方であり、価格重視の外注選びをしてしまいがちです。しかし、価格だけで外注先を判断することはリスクがあります。
価格だけで外注先を選ぶリスク
ホームページ制作を「コスト」ではなく「投資」と捉えた場合、外注先に求める提案は「成果にコミットした提案」になるはずです。成果にコミットした提案を求める場合、制作会社は発注側の事業への理解や市場・競合の分析、ターゲットの設定などの工程が必ず必要になります。
つまり、本来、提案そのものに相当な工数がかかるわけです。
これを安請け合いしようと思うと、制作会社は工数を削減するため「テンプレートな提案」をするしかありません。
ホームページ制作に掛かるコストは、以下のようなものです。
つまり、大きくまとめると人件費がほとんどです。
まったく畑違いではあるものの、この構造は実はレストランなどの飲食店と似通っています。
飲食店も
- 料理人のスキルや経験(技術料)
- 下準備
- その料理にかける手間と時間
- 材料費
でおおまかな価格が決まります。
当然安く料理を提供するお店は、これらのどこかを削らなければいけません。たとえば、チェーン店などで安く料理が提供できるのは、工場で一括製造した冷凍素材を使用したりしますよね。
もちろん安いからダメ、高いから良いというわけではありません。飲食店もシーンによって使い分けるように、ホームページ制作会社も目的や目指す成果によってマッチする制作会社は変わります。
当然、高いものがすべて良いというわけではありませんが、安いものにはそれなりの理由があります。そうでなければ、企業として存続できません。
制作会社が利益を確保するためには、「安くしてくれ」というオーダーに対して、
- 制作者のレベルを落とす
- 戦略立案にかける工数を削減する
- 制作にかける工数を削減する
- 画像や写真は安価な素材を使用する
という選択をせざるを得ません。
つまり、「成果にコミットするための工程」をすっ飛ばさざるを得ないわけですので、間違いなく「テンプレートな提案」をするしかありません。こういった「テンプレートな提案」に多くの成果を期待するのも酷な話でしょう。
もちろん、長く同じ業界を見てきた制作会社であれば、ある程度その業界の課題感なども分かっており、提案のツボを心得ていることもあります。それでも、1社1社、売上規模や商圏などの状況が異なるため、「〇〇業界はこのページがあれば大丈夫!」のようなテンプレートな提案で事足りるはずがありません。
ホームページを営業スタッフと捉えると見えてくる
突然ですが、たとえば、営業スタッフを雇用するとしましょう。人材紹介会社から、2名の営業スタッフを紹介されました。
業界のことは知っており、給料もそこそこで済むが、営業力もそこそこ。マニュアル通りにはできるが、それ以上のことは期待できなさそうな営業スタッフAさん
業界は未経験だが、営業成績にコミットしており、必要とあれば機転の効いた提案をしてくれる営業スタッフBさん
この際、どちらの営業スタッフを選びますか?
スタッフA=テンプレ型のホームページ制作会社で
スタッフB=戦略提案型のホームページ制作会社です。
企業には様々な考え方があるので、「言われたことだけ出来ればそれでいいよ」という考え方も間違いではありません。しかし、<営業スタッフA>を雇う場合、「ずっと指示し続ける」必要があるでしょう。これは指示する側である上司が正解を出し続けることができれば機能します。
ですが、時代の移り変わりが激しい現代において、指示する側である上司ですら正解を出し続けることも難しくなっています。
正解のない世界を生き抜くためには、いかに目標と現状の差し引きから課題を抽出し、精度の高い仮説を立て検証し、提案・実行できるかが問われます。
そのための人材採用を考えるとき、まず「募集要項」をきちんとつくりますよね。
- 人材を募集する目的は?
- どのような資格を求めているか?
- どのような技能を求めているか?
- どのような成果を期待しているのか?
- 就業時間はどれくらい?
- そのために給料はどれくらいまで出せる?
…などなど。
これは、ホームページでも同じです。ホームページは24時間、WEB上でセールスしてくれる営業スタッフです。優秀な営業スタッフにしようと思うと、それなりに設計する必要があります。
- ホームページをつくる目的は?
- どのような機能があればいいか?
- 制作会社にどのような実力を求めているか?
- どのように売上に貢献させたいか?
- 求める成果は?
- これらを満たすことのできる提案にいくらまで投資できるか?
…このようなことを定義し、提案依頼をすることが、制作会社からの質の高い提案を受ける秘訣です。
まとめ
ホームページ制作の外注依頼を検討する際は、相見積もりではなく、「予算と目的」を明確にした状態で最高の提案をしてもらう、という姿勢で提案依頼をすることが重要です。ホームページを24時間WEB上で働く営業スタッフとして考えることで、どのようなホームページにしたいかを定義することも有効です。