せっかく費用をかけて広告で集客したのに、フタを開けてみたら成約がまばらだったり、冷やかし客が多く、忙しいだけで売上にはつながらない。
このような課題は日常茶飯事で、「広告費がもったいないから、無料で集客できることを探している」というような時間効率の悪いやり方に固執してしまうんですよね。
多くの場合、成約率が低い原因は広告の媒体そのものが合っていないことなんですが、「広告媒体と自社のサービスはマッチしているはずなのに、なかなか成約につながらない」というような場合は、お客様の定義に問題がありそうです。
販促の「手法」で解決するのは限界がある
広告費用をかけて集めたお客様なのに、成約まで結びつかない。結局忙しいだけで、売上につながらない。このようなケースでありがちなのは、特定の販売促進手法で解決しようとすることです。
たとえば…
- 「他社との差別化」と称して成約プレゼント勝負の企画になっている
- とにかく値引きだ!と限界までコストを削減して価格勝負になっている
これは、売るモノを他社と差別化することが難しい販売業・小売業に多く見られる傾向です。
たとえば新車販売などは車自体はメーカーが生産しているものを扱っているため、商品そのもので差別化することは困難です。だからなんとか他社との違いを出そうと成約プレゼントや来場プレゼントに予算を大きくかけてしまうのです。
しかし、実際に購入してくださるお客様は「成約プレゼントが良かったからここで買いました!」というケースはそこまで多くないこと容易に想像できますよね。もし成約プレゼントで勝負するならば、相当プレミアムなものでなければ大した差別化はできないでしょう。(利益率は下がりますが…)
ここで考えたいことは「自社のお客様」は誰か?ということです。
「自社のお客様」の定義はできていますか?
言い換えると、あなたのお店はどんなお客様の、どんなお悩みを解消する、またはどんな希望を叶えるのにぴったりなお店ですか?
たとえばゴルフショップの場合、下記のようなお店を表すキャッチコピーはいかがでしょうか?
「ゴルフアイテムをお探しなら、品揃えと確かなフィッティング技術を持つスタッフがいる〇〇ゴルフ店へ!」
これもいいですね。
でも、「ゴルフアイテムをお探しのお客様」ではニーズが広すぎてまったく刺さりませんし、「確かなフィッティング技術」が何の役に立つのかがピンときません。この状態で来店したお客様へ必死にフィッティングをおすすめしても、「やたら売り込んでくるお店だな…」と敬遠されます。
では、下記のキャッチコピーはいかがでしょうか?
「ゴルフのスコアが90を切りそうで切れないアナタの”あと一歩足りない”を、的確なクラブフィッティングで90切りを実現するゴルフクラブを提案するゴルフショップ」
こちらはいかがでしょうか?
少し長いですが、これぐらい明確に「うちお店に合うお客様はこんな人です」と定義することができれば、間違いなく広告の訴求内容が変わります。
そうすると「確かに90切りまであと少しのところで足踏みしてるんだよな…」と共感してくれる、つまり、問題を認識した状態の「HOTなお客様」の来店が目に見えて増えるはずです。
こうして、自社のお客様がどういうお客様なのかを定義することで、広告内容とユーザーの解決したい内容のマッチ度が高くなるため、成約率も高くなっていきます。今一度、自社のお客様について考えてみましょう。
でも、いざ考えてみると訴求内容がぼやけてしまう…
お客様を定義する際に、自分やお店のメンバーだけで議論すると、都合の良いように定義してしまうことが多々あります。
たとえば「単価は高いほうが良いから、高単価な商材を買ってくれるお客様にしよう!」と考え、下記のようなメッセージを作文します。
「ワンランク上の使い心地を追求するお客様へ、ぴったりのクラブを提供できるフィッティングのエキスパートが揃うお店です」
これではお客様を定義できていませんね…
しかしながら、世の中の広告を見てみると、意外とこれに似たような訴求が多いことに気づくはずです。原因は、自社が訴求するべき強みを正しく認識していないことがほとんどです。
これを回避するコツとして以下のようなポイントがあります。
- 自社の顧客にインタビューしてみる
- 取引先にヒアリングしてみる
- 集客施策を依頼しているパートナーに分析してもらう
最も理想的なのは自社の顧客に「なぜ、他社ではなくて、うちで買ってくれてるのですか?」と聞いてみることです。まったく自分が想像していなかった答えが返ってくることも多々あります。
少しハードルが高いかもしれませんが、粗品などをプレゼントする形でも構わないのでぜひ、トライしてみてください。
いずれにせよ、自分の頭の中だけで解決させず、きちんと客観的な意見をしてくれる外部の目線が重要です。
また、1度やれば完璧!というわけではなく、折に触れて見直してみることも大切です。まずは1度じっくりと自社のお客様について考えてみてください。